お父さんが魅力的「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」
Netflixで公開されていた「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」を観た。
主人公のエリーは、両親が中国移民。
頭が良く、芸術と文学を愛し、成績も良い。ただ、地味だし、高校ではスクールカーストの下位。理解し合える友達もいない。
恋しているのは学校一の美人のアスター。そう、エリーはLGBTでもある。
そんな中エリーは、スポーツマンで明るく単純な男子ポールから、アスターへのラブレター代筆を頼まれる。最初は断ったが、家の電気料金を稼ぐために引き受けることに。
そして、おかしな3人の関係は始まった。出口なし-No Exit な展開。
スクワハミッシュという閉鎖的な田舎町が舞台で、そこはエリーのように芸術と文学を愛するインテリは少ない。
高校ではアメフト部とその取り巻きの女の子がスクールカーストの頂点。町の金持ちは土建屋。エリーに他都市の大学に進学を進める教師も、スクワハミッシュで教える今の自分の境遇には満足していない。
田舎の呪い。モヤモヤした毎日。でもそれが日常。
高校生のラブコメものだけど、ミドル世代の私としては、エリーの父親に感情移入してしまった。
工学の博士号を持っているのに、田舎町の駅長の職に甘んじている。
キャリアを積むには博士号よりも流暢な英語を求められ、それが彼には足りなかった。田舎の流儀。
家の電気代が払えないほど家計は困窮。(だから頭脳明晰なエリーが、同級生のラブレターやら同級生のレポートやらを代筆し、稼いでいる。)
家ではカジュアルすぎる格好で、TVの前のカウチで名作映画を観るのが唯一の楽しみ。
父は、妻(エリーの母)と死別してから、コミニュケーションを閉じてしまっているように見える。
誰もがハーフ・オブ・イット、完璧な片割れを探している物語。
高校卒業後の進路をめぐり、主要人物全員が真摯に自分に向き合う。
それぞれの出口を模索する。お父さんも。
どん詰まりに見える状況でも、打開していくことはできる。
ラストはとても晴れやかな気分になった。