アラフォー無職のリカバリー日記

40代無職の女| アラフォーから育つ方法

孤独にならないやりとり「欲望の時代の哲学2020 マルクス・ガブリエル NY思索ドキュメント」

NHK Eテレの再放送の録画を観るという、遅きキャッチアップ。

"倫理"について、脳がパッとひらけるような解説。
こういう考え方、コミュニケーションのとりかただと、誰も孤独にならないし、させないんだよな。

パニックにならない、させないやりとり。大事にしたい。

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NYタクシーで移動する、ドイツの若き哲学者マルクス・ガブリエルと撮影クルー。
EUアメリカの深い文化的ギャップについて語っていると、トンネル走行中に、突然、ドライバーが言う。

「運転できない。皆さん歩いて帰ってください。不安発作を起こしました。」
 

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降車して外に出るのは危険。
 
 

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---ここからタクシー内でのやりとり。

ガブリエル:君ならできるよ。君ならできる。
お気の毒に。私が運転しようか?

ドライバー:そうではありません。
ガブリエル:この場そのものですか?
ドライバー:はい。
私がわざとやったことではないことはわかるでしょう?

ガブリエル:わかっています、心配しないでください。
本当に謝る必要はありません。
単に不安発作を起こしただけ 心配しないで。
私たちはあなたを助けるために最善を尽くします。
心配しないでください。
気分を悪くしないで。

ドライバー:ありがとう。

---目的地のレストラン

ガブリエル:広くなったよ 気分はいい?

ドライバー:キツかったよ。

ガブリエル:想像しかできないけど 私もひどいめまいをしたんだ

ハドソン・ヤードに新しくできたオシャレな建物に上がったとき
高所恐怖症で正気ではいられなかった。半分までしか上がれなかった。
最悪なのは降りるときも同じくらいキツいんだ。
自分で切り抜けなければならなかった。
あなたが感じたように、傍目で見てもわからないんだよ。

運んでくれてありがとう。
勇気があるね。

ガブリエル:目的地に着いたよ。

ドライバー:命の恩人だ

ガブリエル:克服できてうれしいよ。

ドライバー:君らがいないとあのトンネルにいたままだったよ。

ガブリエル:勇気があったね。


---目的地のレストランでの考察

ガブリエル:運転してくれた彼にはさまざまなことが起きて
不安発作をおこしてしまった。
日本語を話す日本人が撮影したり、
ドイツ人が英語でアメリカについて話をしたり・・・
彼にはこの状況を消化することができなかった。
だから彼の脳みそは焼き切れてしまった。
「外人は騙す」が彼の最初の発言だった。
つまり彼は私たちを恐れていたんだ。

「私たちは同じ船に乗っているだけ、何も心配することはない」と
彼が気づいたときのことを思い出してほしい。
それによって彼はトンネルから脱出できた。

これは本当に洞窟の寓話だ。
私たちは彼をトンネルから引き出した。
全くプラトンの寓話そのもの。彼がしたことを 私たちもしただけだ。

ある時点で彼を異質とみなさず、彼も異質であると感じなかった。
彼はただ一人の人間で、そこに深い違いはない。
そのことが非常に重要です。
それが倫理です。

倫理とは”異質”という錯覚を
「あなたが彼だったかもしれない」という事実に転換すること。
私は今の自分になったが、あなただったかもしれない。

「私はあなただったかもしれない」

これが重要です。
倫理の基本的なポイントです。
私は反対側にいることもできる。